賃金デジタル払い
キャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化へのニーズに対応するため、労働者が同意した場合には厚生労働大臣が指定した一部の資金移動業者の口座への賃金の支払いが認められています。
賃金のデジタル払いを行う上で注意しておきたいこと
事前に雇用主と労働者の間で労使協定の締結が必要になります。その上で雇用主は以下の事項を労働者に説明し、個別に同意を得ることが必要になります。
受取額を適切に設定することが必要です
資金移動業者の口座(デジタル払いの口座)は預金をする為ではなく支払いや送金に用いる為のものです。支払いなどに使う見込みの額を受け取るようにしてください。受取額は一日あたりの払出上限額以下とする必要があります。
口座の上限額は100万円以下です
口座の上限額は100万円以下に設定されています。上限額を超えた場合はあらかじめ労働者が指定した銀行口座などに自動的に出金されます。この際の手数料は労働者負担となることもありますので、事前に資金移動業者に確認しておきましょう。
口座残高の現金化が可能です
ATMや銀行口座などへの出金により口座残高を現金化することができます。少なくとも月1回は労働者の手数料負担がなく資金移動業者の口座(デジタル払いの口座)から払出ができます。払出方法や手数料は資金移動業者によって異なります。
口座残高の払戻期限は少なくとも10年間です
口座残高については、最後の入出金日から少なくとも10年間は、申し出などにより払い戻してもらうことができます。
労働者は賃金の一部をデジタル払いで受け取り、その他はこれまで通り銀行口座などで受け取ることも可能です。また、賃金デジタル払いを選択した後であってもその後、賃金の受け取り方法を銀行口座などに変更することも可能です。デジタル払いはあくまでも送金や支払いのための口座であるという認識を持つことが重要です。
個々の労働者への説明は雇用主から資金移動業者に委託することが可能です。個々の労働者からの同意の取得は雇用主自らが取得する必要があり、委託はできませんので注意が必要です。
厚生労働省のホームページに賃金デジタル払いに関するQ&Aや労使協定の様式例、同意書の様式例などが掲載されていますのでご確認ください。厚生労働省HP→